(mizuaoiの写真館改題)

(こちらは石川の植物の別館です)

 私の基本ホームページ「石川の植物」の別館が、現在閲覧不能になっております。そこには石川の植物のFILEの8割ほどが入っているので皆様にご迷惑をおかけしております。そこでサーバーを替えて、閲覧不能のFILEを改訂しつつアップし直すことにしました。

4 ノハナショウブ 
 
Iris ensata Thunb. var. spontanea (Makino) Nakai ex Makino et Nemoto                                               Iridaceae(アヤメ科)

 加賀海岸は、1968年、石川県加賀市から福井県敦賀市に至る海岸線を中心に指定された越前加賀海岸国定公園の石川県側で、幅百数十m、長さ約4.4kmの広大な海岸砂丘並びに長さ約5kmの海食崖で知られた景勝の地である。この海食崖の各所にハナショウブ(花菖蒲)の原種といわれるノハナショウブの群落が見られる。
 このような海辺でのノハナショウブの大群生は全国的にも数少ない光景だと思う。
図1 海食崖岩棚のノハナショウブ

 図鑑等ではノハナショウブの生育地を「湿地や草地」「湿った草原」と書いてあるように水湿地の植物という印象だが、なぜ、このような海岸の崖地に生育するのか? 現場へ行くとすぐに明らかとなる。ここは、凝灰質砂岩の上に砂が堆積した地層で、砂層を浸透した雨水などが両層の境を流れているため、海食崖上は湿気の多い環境となっており、幾筋もの地下水が、崖を流れ落ちているのを見ることができる。

図2 黒々と見えている箇所は流れ出た地下水

図3 赤紫系の花(右)と青紫系の花(左)がある
 ここのノハナショウブの花色には赤紫系が多く、ときに青紫系の花が混ざるのも興味深い。なお、中間的な花色のものもある。花の色は言葉で言うのが難しくまた、モニターにも正確には出ないので、図3によって、違いのあることを知っていただきたい。

図4 花の構造 外観 図5 花の構造 外花被片をそらせて葯を見やすくした

 花の構造は、基本的には、シャガと同様、3個の外花被片が大きく目立ち、3個の小形の内花被片は立ち上がっている(図4)。内外の花被片を外すと、雌しべが見やすくなるが(図6)、シャガと同様に花柱の上部が3つの花柱枝に分岐している(図6)。花柱枝の裏側(下側)上部に柱頭がある。花柱枝の先端は反り返った付属体となり、柱頭を覆っている。付属体は雨などから柱頭を守るとともに、昆虫が花の奥へ潜り込むためのガイドの役を果たしているのではないかと推察する。雄しべは緩やかなカーブを描いた花柱枝の裏側にあり、大型の葯が花柱枝の曲面にすっぽりと収まっている(図5)。葯と雌しべとが密着しているので、蜜を吸いに来た昆虫は葯に体をこすりつけて外花被片との隙間から花の奥へ入らなければならない。体に花粉を付けた昆虫が別の花を訪れると、その花粉が柱頭へ受け渡される。柱頭は葯を傘で覆うような位置にあり(図5)、先端部分はスプーンのようになっていて(図7)、体に花粉を付けた昆虫が花を訪れたときに、花粉を掻き取るようになっている(図9)。
 さらに柱頭には、おろし金のように突起が密生して(図8)、花粉をキャッチするのに都合のよい構造になっている。
図6 花被片を取り外すと雌しべの構造が良く分かる 図7 付属体の下、外花被片の上に柱頭が見える
図8 おろし金のような突起に覆われた柱頭 図9 花粉の付いた柱頭

本稿の原本は、「植物生態観察図鑑−おどろき編」(全国農村教育協会)です。10ページにわたってアヤメやカキツバタなどとの違いについても詳しく解説してありますから、ぜひ、オリジナルの原本をお読みくださいますようお願い致します。


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