(mizuaoiの写真館改題)

(こちらは石川の植物の別館です)


植物生態観察図鑑 おどろき編
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第2弾 植物生態観察図鑑 ふしぎ編 初校返しました。年度内には完成するでしょう。御期待ください

 オウレンの性型については、植物図鑑では、雌雄異株とか、両性花と雄花とがあるなど、様々な記述があるが、実際の所は「両性花の株、雄株、雌株、両性花と雄花の混ざった株」が見られる。
 植物図鑑の記述を鵜呑みにするのではなく観察が重要である。
 オウレンの性型についても8ページにわたって詳しく解説。
 右の画像はオウレンの雌株。

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石川の植物


FILE129 アメリカキンゴジカ Sida spinosa L. var. angustifolia Griseb. (アオイ科)

 アメリカキンゴジカとは変わった名前である。  アオギリ科にゴジカ(午時花) Pentapetes phoenica L.という植物があり、それは、昼過ぎに咲き出して夜には花が落ちるので、「午時花」と呼ばれるのだそうである。(堀田.1995)
キンゴジカは、「ゴジカに似ているが、花が黄色であることによる」(佐竹.1982)。
 こういう名のため、昼頃に開花すると思い込んでおられる方もいるようだが、ゴジカはいざ知らず、アメリカキンゴジカは決して正午頃咲く花ということではない。
 この植物との出会いは、2008年8月21日である。加賀地方の農道に閉じた黄色い花の草本が密生していた(図1)。瞬間、石川県では割に珍しい「カラスノゴマ」と思い、感激して写真の撮影もした。
 カラスノゴマは、植物生態観察図鑑FILE108(ここをクリック)でも取り上げたように、雄しべの数が興味深いので、観察材料にするため1株採集した。帰宅後、自宅に生えているカラスノゴマと比べてみると,あらゆる点でまるっきり違っていたので、その後何度か現地に出向いて観察した。
 

図1 この時間帯ではまったく開花の気配がない。この後、10時頃からサアーと開き、昼前には閉じてしまった この時間帯では、全く開花の気配がない。この後、10時頃から、さーっと開き、昼前には閉じてしまった。

 図1を観ると、所々に小さな黄色い点が見えている。つぼみだろうか?
 じつは図2のように、前日に咲き終わった花である。花後、萼が閉じて花冠が絞り出されるように押し出されていく。一時期、萼の先端部に付いて止まっていることがあるが、ぽろっと落ちていく。翌朝だけに見られる珍しい光景である。

2 閉じた萼に絞り出され捨てられる花冠。光っているのは朝露

 次に開花の様子を時間を追って見てみよう。

3 膨らんだ蕾が次第にほころびてくる(両者は別の花)
4 同じ花での開花の様子

 図4は同一の花で、開花の様子を時間を追って撮影したものである。この花では10時46分に最大に開き、11時22分には、もうはっきりと閉じ出している。開花時間の短い花である。

5 花弁は不規則に切れ込んでいてあまりきれいな花とは言えないがこれが満開の姿
6 満開の姿
7 キチョウが蜜を吸っている。この日、多数のキチョウがアメリカキンゴジカを訪れていた(10時45分)
 あとは、日本の帰化植物(平凡社)の記述を確認してみよう。

(1)茎や葉柄の星状毛
図8 茎には星状毛がある 図9 葉柄にも星状毛がある
(2)葉の星状毛
図10 葉の表面。ほとんど毛は分からない 図11 葉の裏面。毛のあることが分かる
図12 表面の星状毛 図13 裏面の星状毛

 日本の帰化植物には、「表面はほとんど無毛、裏面は星状毛がある」と記載されている。確かに裏面は、図11のように顕微鏡を使わなくても毛のあることが分かり、顕微鏡で観ると、びっしりと星状毛がある(図13)。表面は、顕微鏡を使ってやっと分かるくらいにわずかの小型の星状毛がある(図12)。図12と図13は同じ倍率で示してある。

(3)托葉
図14 葉の基部には、葉柄より短い托葉と短い突起がある。円内は突起部分の拡大

 葉の基部には、葉柄より短い托葉と短い突起がある。日本の帰化植物には「葉柄の基部に接して下向きの曲がった短い刺状の突起がある。」とある。図14の円内の突起がそれのようだが、必ずしもすべてがそのような形とは限らないようである。

(4)果実と種子
図15 果実は5個の分果よりなる。分果には角状突起がある
図16 分果にはそれぞれ2個の角状突起がある 図17 種子が1個ずつ入っていた。スケールはmm

 果実は茶色く熟し、5個の分果よりなり、各分果には角状突起が2個ある。それぞれの分果には、種子は1個しかなかった。
 図鑑類の記述には、
日本の帰化植物 種子は2個
原色日本帰化植物図鑑 2種子を包む
園芸植物大事典 属の解説で「種子は各果に1個」
日本の野生植物 2 属の解説で「1個の種子がある」
神奈川県植物誌 2001 属の解説で「各果に1個の種子」
とある。
 これまで観た分果では、すべて種子は1個であった。もう少し観察例を重ねる必要はありそうだが、おそらく、「種子は2個」との記述は間違いであろう。


文献
長田武正. 1976. 原色日本帰化植物図鑑:195.保育社.
佐竹義輔. 1982. 日本の野生植物 2:240.平凡社.
堀田 満. 1995. 週間朝日百科 植物の世界:7-111.朝日新聞社.
立花吉茂. 1999. 園芸植物大事典:1123.小学館.
高橋秀男. 2001. 神奈川県植物誌 2001:994.神奈川県立生命の星・地球博物館.
高橋秀男. 2003. 日本の帰化植物:140.平凡社.


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